おいしい店

2010/01/06

うなぎ 味治 

週に1度か2度ほど通っている荻窪の小料理 和庵

無農薬の野菜、無添加の食事、店内禁煙、三拍子揃った飲食店は中央線沿線といえど数えるほど。

しかも、食材が残っていれば23時までやっているので、残業で遅くなると迷わず駆け込むお助けお食事処です。



この和庵にナゼか夕方に行けた晩夏の頃のこと。(ワタシはいつも遅番なのでこんなことはホントに珍しいのです)

カウンターに祭り半纏の旦那さんがいまして上機嫌で飲んでいました。

話してみると神輿を担いだ帰りだそう。

見た事無いくらい手が込んだ小紋の半纏。うっとり見とれてしまう見事なものです。
ひけらかすワケでもなくサラッと着こなして....。

気取らない立ち居振る舞いは古い東京の人そのもの。

一家言持ちながら、それを押しつけるワケでなく、飄々としている。
ワタシが子供の頃はこんな旦那さんまだたくさんいたんですよ。


いろいろ話してみるとお店をやっているそう。

「つまんない店やらせてもらってんだけど、ま、そんな事はどーでもイイんだ。」なんて良いながら、深酒するワケでもなく、酒の飲み方もキレイ。

ナゼか上高田少年少女合唱団の話しなんかしながら、少しの間一献傾けたのです。



あとから和さんに聞くと、中野のうなぎ屋の旦那さんだと。

よくよく聞けば、漫画 美味しんぼで紹介されたうなぎ串焼きの店の旦那さんだそう。

もっともその紹介された店 うなぎ串焼き 川二郎 は甥御さんに譲られて、今はその近所で違う店をやっているそう。


お食事番長が田舎から帰京したこの正月5日。
「うなぎが食べたい」と唐突なつぶやきに驚きながらも、アノ旦那さんの店に行ってみるかと。

(ここまで前置き。いやー、長いですね。)





中野駅北口からバスのロータリーを廻り、トリハイで有名なBRICKの前を通り抜け、ふれあいロードを突っ切って。

(参照:2009/01/20 トリハイ 210円 良き日本のBAR BRICK 中野






その店 味治 は確信が無いと通ることのない、商店街から少し外れたところにありました。




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この日が仕事始めの味治でしたが、串物も全部出来るそう。

しかし、最初の訪問でいきなりスペシャリテに手を延ばさないのがワタシ流。

この日はランチなので食べる方を中心に。
短冊焼き、薫製、白焼き、うな重。うなぎ尽くしにしました。

焼物のうなぎの部位全部はまたあらためて、夜に来てゆっくりやりましょう。






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まず、薫製。
控えめなスモーク香。
食感はプリプリッ。
皮の食感が素晴らしい。






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続いて短冊焼き。
タレと塩、1本づつ。
これは皮と身の間の甘みが良い。
なんてことない串焼きなんですけどね。
なんでだろ。やはり焼きでしょうか。
塩のほうに特に甘みを感じます。






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白焼き。
たぶん養殖のなんてことないうなぎでしょう。
形も少し小さい。
しかし、なんとも言えない旨さ。
軽いのに旨味が、それもイヤミにならない程度の旨味があります。
旨いなー。





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最後はうな重。
実は脂に弱いワタシとお食事番長。ここまでうなぎを食べると正直厳しくなることが多いのです。
数年前、浜名湖畔の舘山寺でうなぎ三昧した時はワタシもお食事番長も途中で気分が悪くなって厳しかったりしたのです。

味治のうなぎはジューシー。
脂はたっぷりあるんです。
でも、軽い。旨味がありながらさっぱりしています。

相矛盾する2つの美味しさが器の中に同居しています。

タレも多すぎず、微妙に少なめなのがちょうど良い。
(ワタシは器の底にタレが残るような野暮ったいものは好きではありません)



ワタシは『美味しんぼ』とか『夏子の酒』とかのグルメ系漫画に出てくる人だけをベストだと過信するオッチョコチョイではありません。
他にも素晴らしい人がいる事を知っています。
むしろ、この手の漫画に出てくる人はアピールの上手い人として割り引いています。

正直、うなぎ自体大したものではないと思います。
美味しくないと言う人がいても不思議ではない。関西味の方には物足りないかもしれません。

しかし、そんなことを鑑みても余り有る 蒸し焼き の美味しさ。

いやいや、納得の美味しさでした。


是非是非、ここは再訪問しなければいけません。
うな丼なんか1000円ですし。ワタシの小遣いでも通えます。




でもね、なんとなく思うんです。

旦那さん、美味しいなんて言われたくないんじゃないかって。


「つまんない店やらせてもらってんだけど、ま、そんな事はどーでもイイんだ。」

そんな風に言うような気がします。



なにげに美味しい 味治 の うなぎ。

ホントに絶品の美味しさなのは内緒にしときましょう。





味治  東京都中野区中野5-57-10
日曜日定休

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2009/12/31

年越し蕎麦 たま庵 下高井戸

まさか大晦日にこんな良い感じの年越し蕎麦が食せるとは。



まず旭菊を燗で。
青い稲のニュアンス。
旨いっス。






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牡蠣のてんぷら。

地御前の牡蠣。
以前、渋谷のアンドラでも食したことがある地御前浜産。
生食用の海域ではないけどこの旨味はヤメられない。
天ぷらなら安心です。





鷹勇強力も燗で。

これは米そのもののニュアンス。
痺れるます。





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鴨ざる。

二八の蕎麦は喉越しが良いですね。
蕎麦の香りは酒に負けてしまい感じにくいです。
旭菊も鷹勇もとびきり旨い酒だけど、蕎麦の勝ってしまうのはつらい。

とは言え、このレベルの蕎麦で年越しできるのは贅沢なことです。

とても幸せ。大満足です。


さぁ、今年最後、新年最初の地域活動に参りましょう。

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2009/12/22

昔ながらの食材を今風にアレンジ  カフェスロー(cafe slow)

多方面からの『一度行っとけ』との声におされて行ってきました。

カフェスロー(cafe slow)。


お食事番長の友人たちが何度かLiveをやったりしてるし....。

参加したいワークショップもあったのですが....。

残業や畑仕事のイベントと重なって断念したりしておりました。





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国分寺南口から坂を下りたとこ。思ってたより近かったです。

倉庫のような、家具屋のショールームみたいな感じの建物。

ちょうどお昼どき。
少し混み合っているので軽くビールでも飲んで待とうかと....。




メニューに 醍醐のしずく を発見。

先日のもみじ市でスルーしちゃった寺田本家の酒です。

もちろん飲んでみます。



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甘くて酸っぱーい。

乳酸発酵の途中なんでしょうか?

でも酒です。

菩提もと仕込み』という『生もと』の原型の仕込み方法だそうです。

ちょっとシャバいけど、これはこれで美味しいじゃないですか。

ワタシ密かに日本酒の販売量を増やすのはこんなユルい酒じゃないかと思っています。(純米酒はコア層を固定化しましたが販売に結びついているかは疑問です)





Slow1529


ランチに選んだのは季節の野菜のまるごとプレート。

ごぼうのフライはソースの替わりに味噌が添えられています。
これって有りそうで無いですね。

こーゆーのマクロビオティックって言うんでしょーか?
動物性のタンパク質がありません。

でも、味噌ってその物足りなさを補いますね。
良いアイデアだと思います。


マクロビ方面は宗教がかってて気味が悪いなんていう人もいますよね。
マクロビとかビーガンなんて言わずにこんな風に軽い感じで食べさせてくれると自然に受け入れることが出来ます。
でも、ワタシは菜食主義ではありませんよ。肉は魚も食べます。

日本人が昔から食べてた食卓を今っぽくしたらこんな感じになった、みたいな....。

初めてのカフェスロー。
なかなか良い感じのカフェ。
また来てみたいと思う興味深い場所が1つ増えました。





cafe slow   http://www.cafeslow.com/

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2009/12/12

旬は人を惑わす 酒徒庵で牡蠣と酒

ちょっと思い立って四谷の 酒徒庵 に行ってみました。

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この店は蕨チョウゲン坊店長氏の新たな店。
(以前、忽那信太郎杜氏を迎えたアノ店です)

(参照:2009/04/18 忽那信太郎杜氏 備忘ログ#9


日本酒の品揃えの豊富さと知識に注目が集まっています。

9月にオープンして3ヶ月ちょっと。
既に
予約困難な人気店です。

前夜、ちょっと思い立ってメールしてみたら四人なら入れることがわかり、思わず翌日の予約しちゃったのですよ。

ワタシ的には店内が禁煙なのが嬉しい。タバコにジャマされることなく酒の香りと向き合えます。

今の時期、店のウリは牡蠣だそう。

1つの皿に5つの産地の牡蠣が盛り合わせてあるセットを頼みました。産地の違いを楽しみましょう。

F田くんは1人1セットを主張しましたがワタシが却下。こーいうものは少なめにして皆であーだこーだ言いながら選ぶほうが楽しいのです。

この日、ワタシの思い付きに付き合ってくれたのは 92の扉 の 92さん、麺打ち職人F田くん、お食事番長、ワタシ。

お食事番長は仕事の都合で大幅に遅れます。


Shuto1437

さて、さっそく生牡蠣が登場。

誰がどの産地のものを食すか、牡蠣ドラフト会議が開催されましたが、選択希望選手が競合しなかったのでクジ引きはありません。

3人で一つづつ食したので残りの牡蠣は2。

お食事番長がまだ到着してないので少しの躊躇はありましたが....。

ワタシからの提案。(うーん、言わされた感もあるのですが....)

「サッと食べてしまい、皿を片付けてもらって証拠隠滅しましょ。」

「番長が来たら、初めて頼むフリして焼き牡蠣でも頼みましょうよ。」

ワタシの急な招集に応じてくれた戦士たち。すこし戸惑ったようではありますが牡蠣の魅力には勝てません。

ワタシ?
もちろん招集に応じた戦士たちに敬意を払い、各々に食して頂きました。

ゲームセット。皿の上の牡蠣も、皿自体も、キレイに片付きました。

そうこうしてる間にお食事番長登場。

「やあ、やあ、やあ。」 なんてワタシ、白々しいこと言いながら迎えます。


「スペシャリテは牡蠣みたい。焼き牡蠣なんて良いんじゃない?」 なーんて、そしらぬ顔で誘導。

計画通り、焼き牡蠣の盛り合わせをたのむことに成功しました。

ここまで完璧です。





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やがて運ばれてきた焼き牡蠣。

「レディーファーストで」なんて言いながら、戦士たちが番長に牡蠣を選ぶよう促します。

レディー と呼ばれたこと自体にニコニコ顔の番長。

あれこれ迷いながらもご満悦。旬の味覚は人を幸せにします。

戦士たちはワタシにも 「牡蠣を選んで」 と ポーカーフェイス。悪人は小芝居が上手いです。

皿の上で視線を泳がせます。

「うーん。」

目移りしちゃいます。

大振りでもなく小さくもない宮城産にしましょうか?



「さっき、こっちにしたからコレにしよっと。」


「?」

「!?」

「!!!」

さっき?


「あっ!?」

「ああーっ!!」

「あー!!!」

「ばかだろ」




ワタシからふった証拠隠滅作戦。

ワタシ自身が墓穴を掘ってしまいました。




「ダメじゃん。」



「ビックリ。」



いやいや、笑いました。





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最後は牡蠣の土手鍋。

美味しい鍋できれいに着地。
とても楽しい夜になりました。


皆さんも酒徒庵で牡蠣と酒を楽しみませんか?

コツはたくさんオーダーしないこと。
少し足りないくらいがやっぱり楽しいと思いますよ。







酒徒庵   http://www.shutoan.com/

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2009/12/11

サクサク フワフワ あなご天 手打蕎麦まるやま

いつも楽しみにしてるyukaさんのblog『つれづれ蕎麦 '09

何かに特化したblogってなんとなく、説教くさかったり、通ぶったり、しがち。

でも、yukaさんのblogにはそれがありません。
蕎麦と蕎麦屋への無償の愛で溢れています。



11月の終わりに 代田橋 まるやま のエントリーがアップされてて、久しぶりに行きたいなーと思ってたワタシ。

ちょうど、岡田周三氏の焼き穴子を思い出しちゃってたし....。

お食事番長の職場に”ノー残業day”が設置されたこともあって....。




そんなワケで代田橋の蕎麦まるやまへ。





村裕 紺瑠璃 を燗で。

甘みが強く、その甘みを酸がしっかり支えて、少し遅れてコハク酸がジュワっと上がって来る感じ。稲を感じる香りがまた良いな。


その日の気分に合う酒があったなら、もう最初から最後までひたすらに飲み続けるワタシ。

この日はひたすらに 村裕 紺瑠璃 だけ。5合? 6合?




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焼き味噌って酒呑みの恋人。
ワタシだけじゃないはずです。





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カモの陶板焼き。
酒とカモ、甘みの相乗効果。




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穴子の天ぷら。
サクサクでフワフワ。
たまりません。
蕎麦屋の天ぷらのレベルではないのでは?
絶品。
熱いうちにササッと。




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二色蕎麦は田舎とせいろ。
それぞれにツユも2つ、濃口と薄口が添えられます。
喉越しのせいろ、香りの田舎。
贅沢なメニュー。






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ちょっとご主人に甘えて、メニューにない かき玉蕎麦 。

(この写真は2口食べた後です。)


2月に行われた蕎麦会以来、久しぶりに作ったそう。

(参照:2009/02/28 手打蕎麦まるやま 蕎麦と鴨鍋の会 代田橋




やっぱり美味しい。

卵の舌触りが絶妙です。
こちらの蕎麦つゆにはナゼか卵が良く合うんです。


今年は特に厳しい残業の日々だったお食事番長。

いつも帰りが遅い番長に21時まで営業してる手打蕎麦は貴重です。

ノー残業day に また来ましょう。





手打蕎麦 まるやま

杉並区和泉1-2-3
03-3321-1478

11:30 - 15:00
17:45 - 21:00
木曜定休

店内は禁煙です

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2009/12/01

地場産小麦が香る 打ち立てうどん エン座

ワタシが注目しているblogには必ずと言っていいほど登場する武蔵野うどん エン座

このエン座。地場産の農林61号と練馬野菜にこだわっている地産地消の店と聞いていたので興味津々ではあったのです。



開店時間に遅れること5分。
もう少し遅かったら外で並ぶことになっていました。


この日は練馬大根を練り込んだ大根麺の日だそうで、地場産の農林61号に練馬大根の葉を練り込んであるそうです。

大根麺なんて経験したことありません。
どんなメニューで食べたら良いのか?
少し混乱。なかなか注文が決まりません。




Enza0699



どこかにヒントはないかと店内をキョロキョロ。

平日は 讃岐 木下製粉 と 農林61号全粒粉。
土日は 大泉 石神井 片山産 農林61号。

なんて書かれた張り紙が目に入ります。

讃岐の製粉所からも取り寄せているということは讃岐の夢2000かな?
(帰宅後にHPで ”讃岐すずらん” と知りました)




ワタシのホーム、経堂 季織亭は全粒粉の小麦をうどんのような技法で手麺にしている店です。

この季織亭の探究心のお陰で様々な小麦を味わう機会に恵まれてきました。

今まで味わった中では はるゆたか と 農林61号 に カナダ産オーガニック小麦がワタシのお気に入りだったりします。




うどんといえば讃岐だったりしますが、ワタシもご多分に漏れず、2001年と2005年にうどん店巡りをしたことがあります。

2001年は讃岐のうどん店の多くは農林61号を使っていたと記憶しています。ところが2005年に再び讃岐のうどん店巡りをした時は讃岐の夢2000が主流になっていました。

正直、讃岐の夢2000という小麦がわかりません。
讃岐の人が好きな食感....、”うどんは小麦の刺身”ってことには合ってると思うのですが。
関東人には農林61号やカナダ産オーガニックの少し芯がある食感と香りのほうが馴染めたりするもので....。



『一番おいしいうどんってどこ?』

讃岐うどんブームの頃にいろんな方によく聞かれました。

讃岐に行った方ならわかると思うのですがこの質問ってすごく難しい。
どの店も素晴らしく美味しく、どの店も個性があるから....。

『一番はどこ?』なんて胆略的に聞いてくる人って大抵そそっかしい人なので、そんな人に誤解されないように話すってことも大変です。

『全部おいしい』としか言いようがありませんよね。




『印象に残る店はどこ?』なんて聞いてくれたら自分勝手に言えるかな。

2001年は 谷川米穀店
女性的。(同じ日に山内にも行ったので余計にそう思った)
水の良さを感じるたおやかなうどん。
おばあちゃんの葉とうがらしの佃煮と黄色くなったスダチを合わせる食べかたが新鮮でした。

2005年は 宮武 。
どなたかの書いた本の影響でダシとゲソ天が注目されがち。
2005年のこの日はやや緑がかった麺にビックリ。
風味と食感が素晴らしく、麺そのものがパーフェクトな美味さでした。
(2009年6月。体力の限界から閉店したそう。惜しいですね。)



『今は?』と聞かれたら....

『広島の地粉うどん わだち草 。』と。

讃岐ではないんです。


芸備線の玖村という駅の近く(?)にある わだち草

農業を営んでいる母上が栽培したオーガニックの農林61号を息子さんであるこの店の主が手打している店です。

農林61号の香りと風味が素晴らしい。
なにより食感が関東人のワタシに合うんです。
讃岐に近い広島では微妙な気もしますが。

この店の為だけに広島に行っても良いかなと思うくらいホントに美味しい。
実際、ワタシは再訪問しています。

(参照:2006/12/12 小麦を育てる 自然派うどん わだち草 広島

しかも、2度目は岡山に用事があったのにわざわざ広島空港から入り、アノ空港の不便さを再度味わいましたし....。(広島空港と鹿児島空港はマイレージを3倍つけて下さい)

しかし、わだち草に行くためなら、遠くても、不便でも、早朝便に乗ることにも、躊躇はありません。

美味しい うどん は しばしばワタシを狂わせます。




話しをエン座に戻しましょう。

大根麺を生かす注文をしたいのですが、経験したことないので見当がつきません。

とりあえずカラダを温めようと。温かいうどんを注文することにしました。




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きざみうどん

きざまれたネギと油揚げのうどん。
おろした練馬大根が添えられています。
微量のごま油と刻みショウガで風味の楽しい料理になっています。





Enza1403


温かけ
天かすと生姜が風味を膨らませています。
やはりおろした練馬大根が添えられています。

うどんの味をシンプルに楽しむならこちら。

麺に練り込まれた大根の葉の香りや風味は見た目ほどではなく、注意深く利かないと感じないかも。
ちゃんとした料理になっているかけうどんです。

うどん自体は谷川米穀店の食感よりややコシがあるかな。

京都の寺で精進としてうどんを修行した 経堂 花坊さんよりはもうずーっとコシが強い食感。

”小麦の刺身”が信条のうどんと比べると少しコシが強いです。

讃岐に関東の食感を与えた感じかな。


逆にタフなうどんに馴れている関東人、特に北関東の山間に近いうどんに馴れている方には少し驚く食感かもしれません。(母方がそちらなのでそう思います)






Enza1404


冷たいうどんならもう少し腰が出そう。
そんなワケでぶっかけおろしを追加でお願いしました。

やはりコシを楽しむならこちらです。

小麦の甘みがたまりません。
練馬大根のおろしも甘くて美味しい。
やはり、ごま油と生姜が少量使われています。

とても官能的なうどんです。

『お酢をかけても良いんですよ』と、案内があったので半分ほど食べたところでサッと一掛け。
冷やし中華的なニュアンスでもあるのですが、ワタシ的にはナゼか谷川米穀店の黄色いスダチを絞って葉とうがらしの佃煮を入れただけの素うどんを思い出しました。

どのうどんも1つ工夫があり、感じる人には料理に昇華していると感じさせてくれます。


でも、サンダル穿きで暖簾をくぐるような気さくな感じ。

どこか、ワタシのホーム 季織亭に似た雰囲気。

もっと早くくれば良かったと心底思ってしまいます。
それに少し通わないとこの店の骨頂はわからない気もします。


カウンター前の棚には悦凱陣の一升瓶が並んでいます。

なるほど、これで酒が飲めたら最高ですね。

凱陣は飾りかな?
飲めるかどーかはわからないけど、予約制という土曜日の夜にも来てみたい気分です。




エン座 
http://www1.ocn.ne.jp/~chiyomom/enzaHP/




文中に出てくる他店


わだち草
http://www.geocities.jp/wadachisou/

谷川米穀店

http://tanikawa-udon.jp/

http://blog.goo.ne.jp/sanuki_tanikawa

木下製粉
http://www.flour.co.jp/

季織亭
http://www.kyodo-suzuran.com/shop/7/25/index.html

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2009/11/23

喫茶カモシカ  オカズデザイン

オカズデザイン という人たちがいまして。
まぁ、何が本職なのかよくわからない人たちなんですけどね。

多摩川の河川敷で開催される もみじ市 にも毎回参加。
ナゼかレモネードだけを販売してたりするのです。


その オカズデザイン
ときどきリノベーションした昭和な民家で実験的なイベントをしています。



昨年、1度イベントに予約したのですが事情がありキャンセル。
参加できる機会を狙ってはいたのです。


今回は喫茶カモシカ。

何が何だかよくわかりませんが、もしかしたランチが出来るかと思いお昼に行ってみました。





Kamoshika1376



場所は甲州街道を杉並区側に渡って桜上水と上北沢の間くらい。
我が社から営業5号車(チャリ)で10分弱です。


建てつけの悪いガラス建具をギシギシいわせながら中に入ります。

お客は全て女子。男子はワタシ1名です。

「ランチってできますか?」


コロッケ定食とグラタン定食があるそう。

温かそうなグラタン定食をお願いしました。



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ブロッコリーのスープ。
おいしい....。素材の甘さに負けぬ塩味がgood。



Kamoshika0687

サラダ。




Kamoshika1375

グラタンはチキンと椎茸入り。
ベシャメル旨い!!
なにげにマカロニが良い歯応え。





Kamoshika0689

食後にホットレモネード。
中に入っているレモンは皮ごと食べられると。
かなり甘みが強いレモネード。
これはこれで完結してますね。


これはなかなかのランチ。
12時に会社を出て13時にちょうど戻れるし。
お昼に楽しみが出来たかも。

ホントは少しゆっくりしたい良い感じなのですが。
13時あたりには会社に戻らねばなりません。
雰囲気に浸っている暇は無いのです。






Kamoshika0688_2


しかし、美味しいスープとグラタンにグッときました。
これは期間中もう1回は行ってみないといけません。

このイベントは前半が終了。
後半は25日から28日まで。

営業時間は12時から19時までです。
(18時半ラストオーダーだそうです)





オカズデザイン  http://okaz-design.jugem.jp/

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2009/11/10

キノコとエゾシカ すっぴんな秋の味覚2つ

秋の味覚がいろいろ楽しくなってきました。

この日は中野坂上の酒店 藤小西 中二階の立ち飲みBarプチコニシ。

セップ(ポルチーニ)です。

以前、実家の近所の頑固フレンチシェフに『セップはポルチーニと違う』と、散々聞かされたことがあったりします。

きのこって環境で風味が変わるのでわかる気もします。





Autumn1319


セップのソテー。

メニューにはグリルと書いてありましたが「ソテーにしてみませんか?」とシェフ氏に薦められソテーに。

結果は大正解。

セップの香りと良質なバターの旨味。

石突きのあたりは繊維がしっかりしていて歯ごたえがフカヒレみたい。

なんとも言えない美味しさ。
食べ出したら止まらない、とびっきりの秋の味覚です。


しかし、このプチコニシのシェフ氏はホントに腕が良い。

立ち飲みのバーなので過度に手を入れたメニューは不釣り合いとは思うのですが、何と言うか「すっぴん」な美味しさ。ホントは手をかけているのでしょうがワタシたち客にはそれを感じさせません。

シェフ氏に熱いファンが多いのも納得です。

若くてイケメンということもありますが....。






翌日はいつものBel Sole。

こちらはイケメンというよりは人懐っこい素朴系シェフです。

最近、イメチェンを狙い白いシェフコートから黒いシェフコートに変えたらネオチャイニーズになってしまったと嘆いております。

3着購入したそうでしばらくは客としても我慢が必要。
カウンターに座ったら不用意に笑わないよう腹筋に力を込めて無関心を装うのです。


ジビエシーズンが始まりました。

阿寒湖畔のエゾシカ。




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今回の仕入れ先のものは2才から4才のものだそう。
ハンターが仕留めてすぐに現場で血抜きしたそうで、過度な獣臭さはありません。

そんなワケで香り付けをしないシンプルなソテー。






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ワインはラシーヌさんのDOMAINE LEJEUNE BOURGOGNE PASSETOUTGRAIN 2007。

凝縮感はありませんが、『すっぴん』な美味しさ。


缶詰みかん。

キレイな姿勢で背筋が真っすぐ伸びるようなキレイな酸味。

ミネラルの塩味。

アフターにケーキの上にのってる砂糖漬けのチェリーのようなキュートな香りが戻ってきます。

低価格ですがシンプルなジビエにうってつけのワイン。




ワタシもお食事番長も残業が多く、ウチは平日どーしてもソトメシになるのです。

外食が続くと着飾ったようなよそ行きの調理や塩分の多い食事はカラダに負担になるので自然と避けるようになります。

『シンプルで美味しい』素材を楽しむ料理が一番です。

どちらのシェフも塩分少なめ。
過度に飾らない「すっぴん」な味なので毎日食べても飽きません。

中野坂上のイケメンシェフか、荻窪の素朴系シェフか。

いづれにしてもシンプルで飾らない『すっぴん』な味。
秋の味覚こそシンプルに頂きたいと思います。






スタンディングBar プチコニシ  http://www.fujikonishi.co.jp/petit/

南欧総菜 Bel Sole   http://r.gnavi.co.jp/b072900/ 

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2009/10/16

四五六そば 蕎麦粉と食材の官能と余韻  旅人の木


毎朝、チャリで出社いたしております。

朝6時半頃の気温は14℃位らしいのですが、いまだ短パンでございます。



お食事番長からは「人目があるからそろそろヤメてくれ」と。

「アンタ、背中のバックにさしたら"裸の大将"じゃん」と。


ワタシも薄々気付いておりました。芦屋雁ノ助様演じる"裸の大将"に似て来たこと。


すれ違う人のイタい表情。

今シーズンの短パン生活もそろそろ限界か....と、なんとなく感じております。


今週末、またまた松本に行くのですが、信州の秋に”短パン”はムリでしょう。
もしかしたら今日が今年の短パン納めになるかもしれません。






Tabi0605


さて、時々お邪魔する吉祥寺のラーメン店 旅人の木 。

アチラ方面に出かけた帰りで営業時間に間に合うときには立ち寄りたいと思っているラーメン店。

ご主人と奥様の人柄に惹かれております。



(参照:2005/10/09 旅人の木

(参照:2006/01/10 旅人の木 メニューを一新  吉祥寺




この店でメンマなどをつまみながらシンハビールを飲みマッタリするのが好きだったりします。

今年はそんな機会がなく、ホントに久々の訪問でした。

ホントにたまにしか行けないので美味に出会えないまま季節を飛び越えてしまうことがあるのです。




今回の 四五六そば も 危うくそんな季節の味になるところでした。





Tabi0607



麺が黒っぽいのがわかるでしょうか?

四五六そば蕎麦粉を使った細麺つけ麺

なぜ『四五六』なのかは麺マニアには説明はいらないでしょう。


スープの味は、を使ったいわゆる"つけ麺"方向のベクトルであることは間違いないのですが、酸や辛みが主張することない良い塩梅。

魚介と野菜などの旨味が優しく丸くまとまった素晴らしい出来です。



スープに使われている食材の甘みと旨味が素晴らしく、何とも言えない恍惚感

そこに蕎麦粉の甘い香り スッ 抜けるのです。

官能的な甘い余韻。

こんなセクシーつけ麺は初めてかも。


残念ながら今シーズンは終了だそう。
もっと早く気付いていれば....。
後悔でいっぱいです。



正直に言うとワタシは魚粉をふるラーメンが好きではありません。
なんで必要以上に魚臭くするのかが理解できないのです。

それならばスープにしっかりとダシを取ってくれよって思っちゃうのです。魚粉でなく煮込んでくれよと。
魚粉をふるラーメンは料理としての未成熟さをわざわざ露呈しているとしか思えないんですよ。

ホントはこの店から足が遠のいていたのはこの魚粉のためです。
いつの頃からかこの店の麺は魚粉をふるようになり、『ご主人と奥様には会いたいけど、ラーメンはちょっとな....。』と。



しかし、今回の 四五六めん は 素晴らしい味でした。

なにか1つの味や香りが突出することのない調和のとれた素晴らしい味。小さな器の中に全てが見事に均衡を保っています。


蕎麦粉の甘みにフォーカスさせる為に酸味を抑えたのかな。


まだ、この四五六そばの余韻が記憶に残っています。



季節の終わりに出会った官能的なつけ麺。

来年、短パンを出した時に思いだす、そんな味になりそうです。





旅人の木  http://blog.livedoor.jp/tabibitonoki2004/  

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2009/06/01

welcome to 相模灘 WORLD!

相模灘でお馴染み、久保田酒造の会に参加させて頂きました。




相模灘は数年前からちょっと通な酒飲みさんたちに「上がって来たねー」なんて言われている注目の蔵。

ワタシも居酒屋なんかにあれば必ず頼んでいる酒です。




この興味深い蔵元さんと会う機会はないものか、と、以前から密かに思っておりました。

そんな折、四季酒の会(よきさけのかい)さんの主催で開かれる会  『welcome to 相模灘 WORLD!』 に 晃 氏 & 徹 氏 が招かれると聞いて、図々しくも混ぜて頂いちゃいました。





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写真は 晃 氏です。






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場所は新大塚の 酒味処 きの字 。

10分遅れて入った店内は満員。
すでに熱気でムンムンしていました。




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この日の酒は10本と焼酎1本。



酒は基本的に9号酵母。

しかし吟醸香は控えめ。全く気になりません。
米本来の香りが前に出ています。



麹米と掛米は同じ品種の米で仕込んでいます。
なので美山錦は100%美山錦。雄町は100%雄町です。




どの酒もアタックが柔らかく、しかしながら、まるで素性の良いシャルドネみたいな酸があります。

この酸は神奈川の酒に共通して感じる酸です。

晃さんに聞いてみたらこの酸は神奈川の水の影響だそう。
少し硬い水が酸味の源だそうです。



さて、酒を飲みましょう。




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1. 純米吟醸 雄町 50%精米 生酒 20BY

アタックの優しい酸がなんとも心地よい酒。
相模灘の特徴が最も良く表現されている酒です。


2. 特別本醸造 美山錦 60%精米 20BY

この酒は相模灘の香りの部分をフォーカスしたような酒。
やや旨味が薄い印象ですが、それ故に香りに注意が向く気がします。


3. 特別純米 美山錦 55%精米 20BY

ややアタックが強くキレを感じます。
シャルドネのよう。
マルク ペノ 氏のミュスカのような深みをも感じます。






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ここから純米吟醸の米違いが3本。


4. 純米吟醸 美山錦 50%精米 20BY

やさしいけど酸が際立ちます。


5. 純米吟醸 雄町 50%精米 20BY

旨味、コハク酸を強く感じます。
リースリングみたい(?)な酒です。
1.の火入れバージョンです。


6. 純米吟醸 山田錦 50%精米 20BY

やさしい。甘みと旨味のバランスが良いんです。






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ここから2本、70%精米。7号酵母。



7. 純米酒 山田錦 70%精米 20BY

雑味があるが旨味も多い。
様々な旨味に気が行ってしまうからか甘みを感じません。

山田錦は飽きたなーと思っていましたが、こんな酒ならとことん飲めます。


8. 普通酒 柏 楽水 加工米 70%精米 20BY

燗で。少し水っぽく感じます。
けど意外と旨みが多い。
1600円位だそうだが2000円までなら出しても良いかも。



ここから2本、酒造年度違い。2本共 19BY。


9. 特別純米 美山錦 55%精米 19BY

メチャメチャ旨い。味が乗っています。

エンドレスで飲めちゃいます。


10. 純米吟醸 雄町 50%精米 19BY

これもメチャメチャ旨い。

冷やから熱燗まで、どの温度でも旨いです。





どの酒も9号酵母なのに吟醸香が控えめ。

夏の若い稲の香りがとても清々しいです。

この清々しい夏の稲の香りについて話したら晃さんはソーヴィニョンブランのような香りとおしゃっていました。

先に『シャルドネのような酸』云々とワタシが言ったからだと思いますが、この清々しい稲の香りをソービニョンブランに例えるたのはなかなか的確だと思います。

誤解されないように言っておきますが、このソーヴィニョンブランのような香りを感じるのはアフターノーズ。飲んで返ってくる香りです。

ワタシはこの香りの酒がとても好き。

酵母の働き以外のところにこの香りの源はあるような気がしています。


また、冷やでも燗でも美味しいのがとても良いと思います。

酒質の良さは、燗にするまでもなく感じます。






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最後は焼酎。


11. 粕取り焼酎 喜楽

粕取り焼酎。

戦後のカストリとは意味が違います。

農民が農作業の合間に栄養補給の意味もあって氷砂糖を入れて飲んだと言われているのが粕取り焼酎だそう。

シチリアの醸造家 Frank Cornelissen や、高畠ワイナリーの醸造家 畑貴嘉さんも、農民が農作業の合間に栄養補給するようなワインを造っていたり造りたいと思っていたりします。

人々の生活に寄り添うようなものを造る。鑑評会で金賞を取ることよりもそちらの方がセクシーです。






最後にワタシ的サプライズが1つ。




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久保田ブラザースの兄 晃氏 手製のトリュフが振る舞われました。
中にはみかんの蜂蜜で甘みを付けた粕取り焼酎が入っていました。

これがとても美味しかった。

いろいろ試したそうですがみかん蜜が1番相性が良かったそう。
確かにリキュールを使ったオランジェみたいでとても美味しかったです。

しかし、ショコラ作りまでするとは!!
おもしろい杜氏です。






この日の会場になった酒味処きの字。


良く有るメニューのようですが、ちょっとした工夫がある。
そんな料理でワタシたちを楽しませてくれました。



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献立は.....


枝豆

ポテトサラダ(山椒風味)

冬瓜と鶏つくねの煮物

アサリと夏野菜の酒蒸し

カツオのたたき(セロリ風味)

ナスの刺身

ズッキーニの寿司

らっきょうの天ぷら

イワシの梅干し煮

トマトと三つ葉のだし巻き

鯖の焼おにぎりのお茶漬け

モロヘイヤのおひたし



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30余人分の料理を1人で作ってたいへんだったと思います。

しかし、どのメニューも手抜き無し。
味がとても良く、酒にも良く合いました。






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写真は 徹 氏。


美味しい酒たちに大満足。

こうなるとどんな所で造っているのか見たくなります。

一度、蔵に行ってみたいです。


ってか、帰りの山手線で蔵に行く約束をしちゃったんですけどね。

どこかで時間を作って久保田酒造に行ってみたいと思っています。







久保田酒造  http://www.tsukui.ne.jp/kubota/

四季酒の会  http://ameblo.jp/take9243/

きの字     http://www.sakeaji-kinoji.com/

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