うなぎ 味治
週に1度か2度ほど通っている荻窪の小料理 和庵。
無農薬の野菜、無添加の食事、店内禁煙、三拍子揃った飲食店は中央線沿線といえど数えるほど。
しかも、食材が残っていれば23時までやっているので、残業で遅くなると迷わず駆け込むお助けお食事処です。
この和庵にナゼか夕方に行けた晩夏の頃のこと。(ワタシはいつも遅番なのでこんなことはホントに珍しいのです)
カウンターに祭り半纏の旦那さんがいまして上機嫌で飲んでいました。
話してみると神輿を担いだ帰りだそう。
見た事無いくらい手が込んだ小紋の半纏。うっとり見とれてしまう見事なものです。
ひけらかすワケでもなくサラッと着こなして....。
気取らない立ち居振る舞いは古い東京の人そのもの。
一家言持ちながら、それを押しつけるワケでなく、飄々としている。
ワタシが子供の頃はこんな旦那さんまだたくさんいたんですよ。
いろいろ話してみるとお店をやっているそう。
「つまんない店やらせてもらってんだけど、ま、そんな事はどーでもイイんだ。」なんて良いながら、深酒するワケでもなく、酒の飲み方もキレイ。
ナゼか上高田少年少女合唱団の話しなんかしながら、少しの間一献傾けたのです。
あとから和さんに聞くと、中野のうなぎ屋の旦那さんだと。
よくよく聞けば、漫画 美味しんぼで紹介されたうなぎ串焼きの店の旦那さんだそう。
もっともその紹介された店 うなぎ串焼き 川二郎 は甥御さんに譲られて、今はその近所で違う店をやっているそう。
お食事番長が田舎から帰京したこの正月5日。
「うなぎが食べたい」と唐突なつぶやきに驚きながらも、アノ旦那さんの店に行ってみるかと。
(ここまで前置き。いやー、長いですね。)
中野駅北口からバスのロータリーを廻り、トリハイで有名なBRICKの前を通り抜け、ふれあいロードを突っ切って。
(参照:2009/01/20 トリハイ 210円 良き日本のBAR BRICK 中野)
その店 味治 は確信が無いと通ることのない、商店街から少し外れたところにありました。
この日が仕事始めの味治でしたが、串物も全部出来るそう。
しかし、最初の訪問でいきなりスペシャリテに手を延ばさないのがワタシ流。
この日はランチなので食べる方を中心に。
短冊焼き、薫製、白焼き、うな重。うなぎ尽くしにしました。
焼物のうなぎの部位全部はまたあらためて、夜に来てゆっくりやりましょう。
まず、薫製。
控えめなスモーク香。
食感はプリプリッ。
皮の食感が素晴らしい。
続いて短冊焼き。
タレと塩、1本づつ。
これは皮と身の間の甘みが良い。
なんてことない串焼きなんですけどね。
なんでだろ。やはり焼きでしょうか。
塩のほうに特に甘みを感じます。
白焼き。
たぶん養殖のなんてことないうなぎでしょう。
形も少し小さい。
しかし、なんとも言えない旨さ。
軽いのに旨味が、それもイヤミにならない程度の旨味があります。
旨いなー。
最後はうな重。
実は脂に弱いワタシとお食事番長。ここまでうなぎを食べると正直厳しくなることが多いのです。
数年前、浜名湖畔の舘山寺でうなぎ三昧した時はワタシもお食事番長も途中で気分が悪くなって厳しかったりしたのです。
味治のうなぎはジューシー。
脂はたっぷりあるんです。
でも、軽い。旨味がありながらさっぱりしています。
相矛盾する2つの美味しさが器の中に同居しています。
タレも多すぎず、微妙に少なめなのがちょうど良い。
(ワタシは器の底にタレが残るような野暮ったいものは好きではありません)
ワタシは『美味しんぼ』とか『夏子の酒』とかのグルメ系漫画に出てくる人だけをベストだと過信するオッチョコチョイではありません。
他にも素晴らしい人がいる事を知っています。
むしろ、この手の漫画に出てくる人はアピールの上手い人として割り引いています。
正直、うなぎ自体大したものではないと思います。
美味しくないと言う人がいても不思議ではない。関西味の方には物足りないかもしれません。
しかし、そんなことを鑑みても余り有る 蒸し と 焼き の美味しさ。
いやいや、納得の美味しさでした。
是非是非、ここは再訪問しなければいけません。
うな丼なんか1000円ですし。ワタシの小遣いでも通えます。
でもね、なんとなく思うんです。
旦那さん、美味しいなんて言われたくないんじゃないかって。
「つまんない店やらせてもらってんだけど、ま、そんな事はどーでもイイんだ。」
そんな風に言うような気がします。
なにげに美味しい 味治 の うなぎ。
ホントに絶品の美味しさなのは内緒にしときましょう。
味治 東京都中野区中野5-57-10
日曜日定休
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