日曜日、チーズラボさん主催の酒とチーズのイベントに行ってきました。
チーズラボさんは以前行った世田谷区主催の大人の夜の食育講座から注目しているシュバリエさんです。
(参照:2008/06/22 大人の夜の食育講座 チーズをいっぱい食べよう)
その後も1度、イタリアチーズとイタリアワインのマリアージュの会に参加させて頂きました。
(参照:2008/10/27 チーズとワインの相性 原産地呼称制度を考えた)
そのチーズラボさん、今回は日本酒とのマリアージュを探ります。
酒は姫路の龍力 本田商店。
5代目、龍祐氏自ら3本の酒を持って来てくれました。
酒器はなんとアクリル製の枡。
masmasというんだそうです。
割れないし軽いし、イベントにちょうど良い酒器です。
友成工芸という会社が作ったようです。
さらに塩の楽天内のショップ 食の泉 TAIYO SHOP から塩が出品。
6種類の塩を食べくらべることが出来たりも。
盛り沢山な内容です。
さてこの日のチーズは
雪印乳業 小淵沢チーズ工房 ブルーチーズ
雪印乳業 小淵沢チーズ工房 ゴーダ
三友牧場 グランド・マ・チーズ(北海道標津町)
鶴居シルバーラベル(北海道鶴居村)
クリームチーズにオカカをふった和風クリームチーズ
こちらも低予算にもかかわらず盛り沢山。
楽しみです。
さて、姫路あたりの酒というとワタシは明石の太陽酒造を思い出してしまうのです。
太陽酒造が分厚いボディに強い酸。旨味や甘みもとても強いマッチョな酒。余韻もかなり長い酒でした。
その割にはアフターに不思議な清涼感があり、飲み疲れないのです。
(参照:2008/08/12 太陽酒造試飲会 角打ち石丸商店 大宮)
この 龍力 本田商店 の酒にも似たような傾向があります。
ボディが厚めで酸が強い。
かなりがっちりした味わいです。
旨味や甘みも強く余韻も長い。
このあたりの味わいは地域性なのかもしれません。
ただ、この龍力のほうが少し優しくってスマートな印象です。
聞いてみると「おダシに合うように造っている」そう。
なるほど、少しシャバいカツオと昆布の合わせダシに合わせたら旨味を補完しあうような予感がします。
酵母は全て9号。
米の産地としての優位性を生かし、優良な田畑から収穫された山田錦だけを厳選して使っているそう。
大吟醸 米のささやき
40%精米。
タンクに対し50ℓから120ℓくらいの極少量の醸造アルコールを添加。
この隠し味的なアルコール添加により米の香りはファッと感じられるようになるそう。
確かに米の香りが良い酒です。
上品な甘みと旨味も好印象です。
さらにミネラル感も感じます。
この日の3本の中でもっともミネラルを感じました。
特別純米 無ろ過生原酒 山田錦
やや野暮ったい印象の生原酒。
シジミなどでお馴染みの旨味成分、コハク酸を強く感じます。
ホントはミネラル感も大吟醸より強いはずですが、他の旨味も強いのでソコだけフォーカスされる大吟醸よりはミネラルを感じない構造になっています。
純米ドラゴン 緑
この酒だけ米が五百万石です。
やや熟成香が有り(あえて熟成香と書きます)、潜在的なポテンシャルを感じます。
残念ながら、この日の会には『燗酒』が用意されていないため、この酒の本領は半分しか感じることが出来ませんでした。
『酒』は『ワイン』と同じ醸造酒ですが、『燗』という方法で酒の奥行きや広がりなどの空間を造ることが出来ます。
これは『酒』の強力なアドバンテージなのですが、なかなかこれを上手く使おうという発想がチーズの世界の人には難しいようですね。
設備や時間など制約もあるでしょうし、お燗番が1人必要になったりと難しいことは理解できますが、『酒』と『チーズ』のマリアージュを探るならこのアドバンテージは是非生かすべきではないでしょうか?
実際に燗酒をやってみるとそんなに難しくないし、なにより楽しいです。
夏でも燗酒を楽しんでいる人は意外なほど多いので、そんな提案をするのも良いと思いますよ。
続いてチーズです。
雪印乳業 小淵沢チーズ工房 ブルーとゴーダ
ブルーチーズはゴルゴンゾーラドルチェに近い軽やかなチーズ。
ゴーダチーズも軽い凝縮感のチーズ。
大手のメーカーは万人受けする商品を作らせるとホントに上手です。
このブルーは甘みもありとてもおいしいです。
三友牧場 グランド・マ・チーズはミルキーなウォッシュタイプのチーズ。
優しい食感はクセになります。
鶴居シルバーラベルも優しいミルキーなセミハード系チーズです。
日本のチーズは製造から熟成、流通から保存まで、それぞれの場面で温度管理が行き届いているのでフランス産チーズのようには塩分濃度を上げる必要がありません。
なので『いい塩梅』
欧州産には欧州産の、日本産には日本産の良さがあります。
どちらもそれぞれにおいしいチーズです。
『酒』と『チーズ』がマリアージュすることは既にわかっています。
それぞれのチーズと酒のマリアージュも人それぞれ。
以前、 BON BON FROMAGE の 大和田百合香さんの尽力で開催できた『sakeとcheeseで和もうかい』でも、それぞれに美味しいと思うマリアージュは異なり、味覚は人それぞれという当たり前のことを再確認することになりましたし。
(参照:2007/12/11 『年の瀬にsakeとcheeseで和もうかい』ご報告)
たとえば、おしるこに塩を入れるように『旨味を補完』するおいしさ。
こってりした味を酸で軽く流すような『転換』するおいしさ。
甘さと辛さのような『対称的』なおいしさ。
ワタシが単純に考えただけでもこんな合わせ方が思いつくのですから、これはホントに人それぞれ。正解はありません。
なので、こんな酒とチーズのマリアージュを探るイベントは永遠にネタ切れにはなりません。
今後もどんどん開催されると良いと思いますし、それをきっかけに日本酒やチーズの販売拡大に繋がれば良いと思います。
更にこの日は塩が6種類。
愛媛 漁師伝説 黒め塩
宮崎 満潮の塩
静岡 天然塩
長崎 五島のあら塩
新潟 越の塩
小笠原 島塩
塩をなめながら酒を飲み始めるとワタシは長いです。
旨味のある藻塩の 漁師伝説 黒め塩 は旨味と甘みが絶妙。
なめる塩の最高峰ですね。
高足ガニでお馴染み、西伊豆戸田の天然塩。
鯖でお馴染み五島のあら塩。
この2つはそのまま豆腐にかけると甘みが引き立つ美味しい塩。
宮崎の満潮の塩は枝豆に良さそう。
小笠原の島塩は魚の塩焼きとかに使ってみたい塩。
新潟の越の塩は煮物なんかが良く合いそうです。
塩と酒のマリアージュも楽しめて大満足。
とても楽しい時間でした。
チーズラボ主催『SAKEとCHEESE~大人の夏のお愉しみ~』
一度では消化しきれない、盛り沢山の会でした。
是非、またこんな会を開いて頂くと良いと思います。
しかし、昼酒はききますねー。
帰ってからは何もしようとは思わず、結果的にとても贅沢に時間を使うことになりました。
たまにはそんな日曜日も良いものですね。
温泉行ったのと同じくらいリフレッシュできました。
チーズラボ http://cheese-labo.cocolog-nifty.com/blog/
龍力 本田商店 http://www.taturiki.com/
友成工芸(アクリル) http://www.tomonari.co.jp/
TAIYO SHOP(塩) http://www.rakuten.ne.jp/gold/taiyo-shop/
テーブルスタジオタキトー http://www.table-studio.jp/
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