こんにゃくおばちゃんの講義はまだまだ続きます。
T型オープナー によるカッコイイ抜栓方法。T形で女性でも簡単に抜栓できる秘技『雑巾しぼり』の披露。
そして、いよいよ、テイスティングへと続きます。
まず、勝沼醸造の甲州ヴィンテージ2006。
勝沼醸造甲州ヴィンテージ2006は透き通ったワイン。
色はほとんど感じないくらい薄いキレイなワイン。
ミカンやリンゴなどの香りに柑橘系の白い花の香り。
それから肴の説明。
「わたし、"こんにゃくおばちゃん"なので、こんにゃくから説明させて」と篠原さん。
手作りおさしみこんにゃく。
「細かい話しで申し訳ないんですけど....」と、はにかみながら....
「3枚お刺身こんにゃくがあります。1枚は手作りの甘味噌で。1枚はブラックペッパー入りの岩塩で。3枚目は美味しかったほうで楽しんでみて下さい。」
篠原さんたち"あいあいクラブ"が朝市で販売しているこんにゃくは絶品。まるで鎌倉こ寿々のわらび餅みたいなプルプルの食感。ヤバい旨さ。朝市では甘味噌付き150円で絶賛販売中です。
篠原さん手作りのカリフラワーのピクルス。
カリフラワーは頂き物。もちろん篠原さんの手作り。
「甲州種にカリフラワーのピクルスはとても合うんです。是非試してみて下さい。」と、篠原さん。確かに甲州種の柑橘の感じと少しの渋みがよく合います。
続いてはパンに付けるディップ2つ。これも篠原さんの手作りです。
1つはクリームチーズにタマネギとアンチョビのディップ。
もう1つはクリームチーズに何にかが入ったディップ。
「"何か"は内緒。今はハテナ印にしときましょう。当てて下さい。」と篠原さん。
このディップ2つは、この後に試飲する橙ワインのブーケ2008に良く合いました。やはりクリーミーなものには樽が合います。
ワタシは『ぶどうに人為的な介入』を加える"樽香"があまり好きではないのですが、クリーム系のものには"樽香"がよく合うのも事実です。食事に合わせるには"樽"もなかなか良いもんです。
マスカットベリーAは篠原さん家で栽培したぶどう。
四恩醸造に納めているそうです。
桃のコンポート。
この日参加の方のご母堂の作品。
やはり朝市で販売しているものだそうです。
ウチはちょっと見逃したかもしれません。
栗の渋皮煮。
やはり篠原さんの手作り。
栗は貰ったものだそう。
「桃のコンポートと栗の渋皮煮は最後のワインに合わせて頂きたいのでとっておいてくださいね。」と、篠原さん。
そーいえばこの会の会費は驚愕の500円。
この内容はもはや予算オーバー。間違いなく"持ち出し"ですよね。
ぶっちゃけ"ダータ"みたいなものです。
手弁当どころか食材や知恵を持ち寄って開催されています。
熱意が無いとなかなか出来ることではないです。
「皆さん、飲んだり食べたりしてる間に小林さんを紹介しましょう。」
ここで篠原さんの紹介で、四恩醸造"つよぽん"こと小林氏の登場です。
ここからは篠原さんと小林氏の漫才のような掛け合い。
お笑いのライブに来たような楽しい会になります。
「若手の頑張っている醸造家。声を強めて言いますが、非常に変わったワインを造っています。」と。
会場から笑いがおきます。
「ワインだけじゃありません。瓶、ラベルも....。」
つよぽん氏も笑っています。
「ワインは楽しいものなので勝沼醸造甲州をグイッと飲みながら食べながら楽しみましょう。」
こんにゃくを食べながら耳を傾けます。
「勝沼醸造甲州はハウスみかんの香りがパッときてスッと消えて、淡い感じが良いですよね。」
缶詰のみかんみたいな香りを感じます。
「こんにゃくに甘味噌を付けて食べると勝沼醸造甲州のみかんの香りが上に飛んできて食事が広がります。」と、つよぽん氏。
つよぽん氏、とても饒舌です。
ここで篠原さんから「今日は言いたいことが一杯あるんですよね。」と、挑発的な一言。
笑いが起ります。
ワインエキスパートやソムリエさんなど、(フランス産)ワインの文法を学んだ方には四恩醸造のワインには”受けいれられない”ことが多いのは想像に難くありません。
試飲は四恩醸造のワインへと変わります。
ブーケ 2008 橙
赤ワインでも白ワインでもなく、つよぽんが橙ワインと言っているものです。
果皮ごと醸した甲州種のワイン。
四恩ファンにはお馴染みなのですが....。
でも赤でも白でもない橙色のスティルワインって理解できますか?
「ワインについてご意見を。」
お二人から声があり、参加の方から「色がキレイ」と声が上がります。
ワタシもガヤを入れてみました。
「皮ごと醸したのでは?」
もちろん四恩ファンにはよく知られたことなんですけどね。
「皮ごと醸したと声が上がりましたよ。」
篠原さんが素早くガヤを拾ってくれました。
つよぽんがガヤに解説を入れます。
「やや濁っていて褐色。そんなものをボクは橙(ダイダイ)と言ってるんです。朱色からオレンジの間くらいなんですけど....」
「こんな色の原因は"醸す"から。普通の白ワインはジュースを作ってから発酵させます。この橙の場合は皮も実も一緒に"醸して"います。この甲州種のワインは果皮の色や味わいを出したかったものでこんな方法を取りました。」
「どちらが良い悪いではなく、どんな時に良いかです。」
日本の家庭の食卓を意識したつよぽんのワイン。
果皮のニュアンスは日々の食事を楽しくさせる為に必要なのでしょう。
ここで篠原さんより2つ目のディップの種明かし。
「入っていたのは"ころ柿"です。干し柿をこの辺では"ころ柿"と言って特産品なんです。この"ころ柿"は昨年のものを大切に取っておいたものです。」という説明。
干し柿とすぐにわかりましたが、2008ビンテージの干し柿とは思いませんでした。
「今年は柿が不作なので"ころ柿"は食べられないかも知れません。少しですが味わって下さい。」
更に続きます。
「ボトルがコルクじゃないですよね。そのへんの話しを聞いてみましょう」
話題はスクリューキャップとエチケットに移ります。
まずはスクリューキャップ。
「実はコルクが抜けないからワインを飲まないというかたが結構いらっしゃるんですよ。スクリューなら”開け方を知らない”とは言わせません。(笑」
アートラベルのエチケットは。
「一人暮らしなので食卓を彩ることってなかなか出来ないんですね。ボトルに描かれた模擬的な花を食卓に置く事によって食事に彩りが出来るかなと。」
四恩醸造のエチケットは花の絵。
品種などの情報がありません。
「絵のラベルだとどれがどのワインだかわからない。よく言われるんです。わからなくって結構です。そのぶん、何本も飲んで頂ければと。(笑」
「それでもね。今飲んでいる品種が何か知りたいんですよね。」
「先入観や固定観念を持たずに飲んでほしい。だから情報を削除する方向でアートラベルにしています。異端な事しかやってなくってスミマセン。」
「ワインが楽しいのは多様性があること。基本がぶどうってことで、あとは何でもアリアリです。嗜好品ですから楽しく飲める環境さえ作れば良いのです。」
つよぽんの醸すワインの方向性が少し見えてきました。
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