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2009/10/21

訃報を知って

ボクたちバカ小学生はいつでも遠回りして帰ります。

Yっチ、N生、Uち、ワタシ。
いつも4人。

たまにOとF井が加わることもあったかな。

体操着の入った袋や水着の入った袋をズルズルと引きずりながら、カバン持ちをやったり、リコーダーを吹いたり。

一緒に遊ぶことが多かったから、帰り道から遊びが始まっているようなものです。




夏の暑い日。
その日もいつものようにダラダラと歩いていました。

でも、いつもとちょっと違って、Uちがボクを待っていたのか、ボクがUちを待っていたのか、YっチとN生に少し遅れて学校を出たのです。

それでも前を行く2人を追うワケでもなく、いつものようにダラダラと。



この頃のワタシは幼少期に受けた交通事故の後遺症である障害を持っていてそれがとても大きなコンプレックスになっていました。
偶然にもUちも幼少期の大きな交通事故からワタシと同じ障害を持っていて、境遇が似ていたワタシたちは何かと一緒にいることが多かったのです。

ただ、ワタシは野球や武道やスイミングに行ってたりしてなかなか活発な子供ではあったのでヒドいイジメにあったことはありません。
イジメっ子はもちろんいたけれど障害をちゃかすような陰湿な子はいなかった。言っても「お前んち貧乏」ってことくらい。
今にして思えば、いつも一緒に帰るバカ小学生のワタシたちはみんな貧乏な家の子だったんです。

途中まで歩いたら少し先の白い豪邸の前にYっチとN生がいるのが見えました。

その豪邸は、そこだけ周囲よりも基礎が高く、大谷石の土留で1.5mほど立ち上がっていて、その上に真っ白な鉄筋コンクリートの壁となだらかな屋根の低層住宅。庭は一面きれいな芝生で、大きな犬もいるのです。もう、絵に描いたような豪邸。

その庭の下、大谷石の土留に寄っかかっていたYっチとN生は何かを持っています。

キレイなグラスに透明の氷。ストローが入っていて、底にオレンジ色の痕跡が残っていました。

「オレンジジュースもらっちゃったんだっ」
YっチとN生が興奮して話します。

「暑いー、暑いーって言ってたら『ちょっと待ってなさい』って上から話しかけられて、そんでオレンジジュースもらっちゃった。」


「ウソ!?」

「ホント!!」

「お手伝いさん?」

「違うよ。南田洋子だよ!!」

バカ小学生4人は大騒ぎ。


その豪邸の主は長門 裕之さん。

近所では、誰もが "南田洋子の家" と知っている家です。

ボクとUちは羨ましくって羨ましくって。


もしかしたら「暑いー」とかって言ってたらまた同じように南田洋子さんからジュースをもらえるかも?

バカ小学生たちはそれから何日も「暑いー」「暑いー」と声を上げることになるのです。

まぁ、そんなに上手く事が運ぶワケありません。
流石のバカ小学生たちもやがて気付くことになるのです。

それでも諦めの悪いバカ小学生が1人....、まぁ、ワタシなんですけどね。


誰もが忘れかけた頃。唐突にその時がやってきます。

ワタシもYっチやN生のようにオレンジジュースを受けとることになろうとは....。


一緒にいたのが誰だったか。記憶がありません。


「この前、ジュースあげたのと同じ子?」

「違います。ボクたちは初めてです。」

(バカ小学生炸裂)

「飲み終わったら玄関の前に置いておいてね。」

「ハイ。」


アッという間に飲んで、玄関へのアプローチの大理石の階段を駆け上がって、そこにグラスのあるお盆を置いて、インターホンを鳴らして....。

「ありがとうございました!!」

(ごちそうさまが正解)

この日の記憶はここまで。

その後、どんなことになったかは思い出せません。



オトナになって地域活動を手伝い始めたワタシ。
少し前まで花火や映画会や防災キャンプといった子供たちを集めたイベントを近所の公園でやっていました。

大きな犬を連れた南田洋子さんが「何やってるの?」なんて言いながらよく立ち寄ってくれました。街との接点が意外と多い人でした。

差し入れや寄付を頂いたりして。それも一度お宅に戻ってからあらためて来て下さったりして。

その都度、バカ小学生の頃のジュースの一件を思い出していたワタシ。
そんなしょーもない話しをしようと思ったことも何度かあるのですが。まぁ、話してもしょーがないことなので....。

何年か前に白い豪邸が無くなり、南田さんを見かけることも無くなり、このエピソードも誰に話すこともない思い出になっています。



この数年、長門さんが認知症の南田さんを献身的に介護している様子がテレビ番組として放送されていました。

この番組は老々介護の実態を世に知らしめるドキュメンタリーとして評価がとても高いようです。
社会にとって有意義なドキュメンタリーであることは間違いないでしょう。


そして今日、訃報を知ることになりました。

長門さんは献身的に介護したよう。
ホントの介護はVTRになっていない圧倒的な時間です。
画面のこちらにいるワタシたちにはその苦労はわかりません。
全て放送されたとしても傍観者であることには変わりないのです。



でも。もしも、南田さんに会えるなら聞いてみたい。

もしも、逆の立場だったら....、長門さんにカメラを向けますか? と。

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