ラーメン懐石とは !? 季織亭で崩し懐石
ワタシのホーム 季織亭 で、ラーメン懐石を楽しんできました。
このラーメン懐石、季織亭が毎月1度、6名〜8名の限定で定休日に行っている裏営業。
なかなか予約が取れない激戦のイベントです。
なにせ、この7月の会を予約したのは4月の終わりですからね。
何度かイベントを共催させて頂いたワタシと言えど、年に1回参加出来たらラッキーです。
前回、参加出来たのは2007年でした。
(参照:2007/11/22 小麦そば懐石試食会 季織亭 経堂)
このラーメン懐石は蕎麦懐石の崩しだそう。
蕎麦懐石という形式があることをワタシは知りませんでしたが、いわゆる懐石料理の崩し懐石で、塗り物の3つの器を使い、それぞれに蕎麦、汁、薬味が入っていて、蕎麦を3度食し、その合間に八寸や預鉢がその都度入るというものだそうです。
預鉢は強肴と同意で、皿に人数分の肴が盛られ、そこから手元の鉢に取り分けるそう。
最初の3つの器だけで最後の蕎麦まで食すのだそうです。
今回のラーメン懐石は、懐石を崩した蕎麦懐石の更なる崩し懐石。
楽しい時間になるようにと料理の順番もかなり自由な解釈となっています。
まず、最初の1品。いきなり焼き物です。
皿から都度取り分けるのではなく、予め1人分づつ盛られて出てきます。
鮎の干物。
これは、この日の参加者が酒飲みだったので、最初から楽しく飲めようとの心遣いです。
いきなり崩しています。
ワタシはまずはビール。ハートランドの生です。
鮎の塩けとほろ苦さとビールの甘さ。
オトナで良かったと思う瞬間です。
続いて、汁と飯の代わりになる麺です。
この麺は風呂敷に包まれて出てきます。
この風呂敷は懐石でつかう折敷(おしき)の代わり。
折敷は脚のない塗り物の膳です。
もちろん季織亭の麺は全て自家製手打麺。
今回もこの日の為に3種類の麺を手打しています。
最初の麺は、大葉を練り込んだ手打の冷製小麦麺。
カッペリーニのような極細の手打麺。
ほんのりと香る大葉が爽やかです。
透き通った汁はなんとも言えない旨味があるものです。
関西風に見えますが、これは関東と関西の中間ぐらいな感覚。
旨味の元は思いも寄らないもの。
季織亭では良く使うものなので常連さんにはお馴染みの味なのですが、ここでは秘密にしておきましょう。
トマトの湯剥きと茄子の素揚げは向付や預鉢として楽しんでも良いし、麺に和えても良いのです。
実際、和えると食感や香りにアクセントがついて美味しかったです。
ツルムラサキのお浸し 香辣油和え
季織亭は自家製の辣油を作っています。
元々は石垣島の辺銀食堂の辣油に感心していたのです。
ただ、辺銀さんは香り油としては秀悦なのですが少し物足りない。
で、いつの頃からか全て漢方の食材で自家製しています。
もう1つ、預鉢として叉焼と半熟タマゴが出てきました。
この豚は脂肪の融点が低く、加熱すると溶けてしまうくらい柔らかいもの。
タマゴは青森シャモロックのタマゴです。
濃厚で甘いトロトロの黄身は絶品ですが、シャモロックの旨さは白身の旨さだったりします。
ここまでハートランドで楽しみましたが、いちいち旨くて参りました。
次の麺が抹茶を練り込んだ麺ということで、富久長の八反草をお願いしました。
八反草はこの蔵しか使っていない酒米。
夏の青草のような香りが魅力です。
58%精米の酒は以前のものより雑味がありますが、この香りは健在。
他と違う個性を持った良い酒です。
麺は極太の手打抹茶つけ麺。
何とも言えない良い香り。
甘くて青くて微細に苦みのニュアンスがあって、夏の夜にぴったりです。
八反草とも良くあいました。
八寸というよりは預鉢としてキジの手羽先。
甘みの強いトマトや水ナスを添えて。
酒は 御園竹 濃醇旨口 山廃原酒
とても甘い酒。ちょっと驚きます。
緩い酸。
僅かに苦味。
アルコール度が19から20。
しかし理解を超えてる甘い酒。
酔っ払います。
この甘い酒が偶然にもキジの手羽先に良く合います。
甘い酒に塩っけ、各々の旨味を補完しあい、なかなか良いです。
続いての酒は 稲花酒造 1787 1st 無濾過生原酒
イメージ的にはシロップのような感覚。
広がりは感じませんが奥行きがあるように感じます。
酸、甘味、苦味が順に浮き上がります。
アタックは弱いのですが余韻がとても長い酒。
酸の感じは帰山に近いかな。
帰山に渋みをたした感じといって良いでしょいうか。
9号酵母かな?
しかし、波乗りのポイント、東浪見に蔵があったとは!?
ウェットにカラダが入らなくなってから行かなくなりましたが、若い頃は仕事サボって良く行った東浪見です。鬼高P.A.に午前1時半集合でしたね。
一緒に波乗りに行ってたメンバーとは最近は通風や肝炎とかの話しかしてません。困ったものです。
十五代 九郎右衞門 特別純米 長野酵母
夏になって旨味と甘みが乗ったようです。
御園竹と同じ美山錦の酒。
御園竹より九郎右衞門のほうが琥珀酸の渋みや辛さがあるので甘さだけが主張することはないです。
美山錦の20BYは特に甘みが立つヴィンテージなのかも知れません。
最後は温かい麺。キジのガラスープの小麦麺。
やっぱりキジには他の鶏に換えられない軽やかな旨味があります。
お茶漬け感覚でサラッと。
キジは今や高級食材ですからねー。
ちょっと勿体ない気もしますが軽やかに頂きます。
麺で参加者を圧倒したラーメン懐石。
同席した方々との会話も楽しい良い会になりました。
最後は薄茶。
懐石の心を持ちながら楽しくアレンジした崩し懐石ですが、そこは季織亭。
女将はこの町の粋人や地域の子供たちに茶道を教える裏千家の家元だったりして。
今も道を極める為に道場に通っていたりする本格派なのです。
なので、最後は薄茶です。
最後に着地点があるって良いですね。
茶懐石の作法にホンキで則られたのではワタシのような無作法なものは凹んでしまいます。
こんな風に達人が素人でも楽しめるように崩してくれると、とても助かるし楽しいです。
このラーメン懐石、8月は2回開くことになったそう。
もちろん既に定員だそうです。
もしも、次の機会を狙うなら10月の会になりそう。
しかし、また激戦必至。予約の出来ない幻の会になるのです。
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