アンリ ルルーさんのセミナー Salon du Chocolat 新宿 伊勢丹
26日に終わってしまった 2009 新宿伊勢丹 Salon du Chocolat 。
名残惜しいので、23日に参加したアンリ ルルーさん(Henri Le Roux)のセミナーを振り返ってみましょう。
ルルーさんの店はフランスはブルターニュのキブロン(Quiberon)。
ケルト文化色の強い街に32年前に店を構えたことによって ルルーさんの運命は大きく変わったようです。
ルルーさんによるとこの地域はチーズが発達しなかったそう。
乳製品を保たせるのには発酵ではなく塩を使うそうです。
その為にバターは全て有塩。塩分は3%と5%のものがあるそうです。無塩バターは無いとおっしゃっていました。
彼の代表作 塩バターキャメル(C.B.S.)はそんな環境から自然に出来たそうです。
ここからは幾つかのボンボンを試食しながら話を聞きます。
まず、最初のボンボンは塩キャラメル(C.B.S.)のボンボン。
有塩バターの塩けが甘さに芯と輪郭を作ります。
因に、ルルーさん流のボンボンの試食方法は、丸ごと口に放り込み
噛まずに溶けるのを待つ。
一方、ルルーさんの奥さん流は、全部噛んでから溶かす。
デギュスタシオンにも流派があるんですね。
ワタシ流はナイフで半分に切ってから口に放り込み、噛んでから舌で舐る。皿も手も汚れるし、食べ方も何となく下品ですが、まぁ気にしない気にしない。
トリュフ ド トリュフ(Truffe de Truffe)
5粒で5000円と大変高価なボンボン。
お食事番長が今年のサロンで真っ先に入手したのはコレでした。
80年代にトリュフ生産者のベベールという方と知り合い、このボンボンが作れるようになったそうです。
生クリームにトリュフを削って入れ、その生クリームをショコラと合わせるそうです。
完璧なマリアージュのボンボン。
いたずらにトリュフの香りが広がるのではなく、ショコラと渾然一体としながらも風味に厚みが増す美味しさ。アタックは寧ろ優しいのに厚みが有ります。
シュゼット(Surette)
クルミのプラリネ。
ルルーさんが言うには「クルミだけではプラリネは作れない」
「クルミは脂肪分が多いのでアーモンドなどのナッツと合わせるほうが良い」のだそうです。
滑らかなのに粉っぽさもある舌触りが美味しいです。
ルイゾン(Louison)
ルイゾンとは50年代に世界最大の自転車ロードレース ツール ド フランス を3連覇したルイゾン ボベ (Louison Bobet)選手からイメージしたそう。ルイーズちゃんという意味ではないそうです。
ルイゾン ボベは引退後にキブロンにタラソテラピー施設を作ってこの街の名士になったそうで、彼に会う為に街を訪れる観光客にアピールする為にこのボンボンは出来たそうです。
このルイゾンにはパッションとフランボワーズの2種類の味があって、パッションはツールドフランス優勝者だけが着れる黄色のマイヨー ジョーヌ。
フランボワーズはジロ デ イタリア優勝者だけが着れるマリア ローザの色からイメージしたそうです。
アタックが強くパッと花が咲いたような煌めき。
ルルーさんの味の中では派手なものです。
スワジック(Soizig)は人名フランソワーズのこと。
ブルターニュで今でも使われているブルトン語ではsoazigと書くそうですが、soa はこの地域以外のフランス人には発音し辛くsoizigとしたほうが自然に発音できるので音に合わせsoizigとしたそう。
スペルより音を優先って....、なんだかちょっと変だと思いませんか?
ブルターニュの名産といえば....行った事がないワタシでもソバと知ってるくらい有名。
そば粉のガレット(Galettes de sarrasin)はウチの近所のカフェでもランチメニューにあるくらい。いつの間にか全国的な定番メニューになっていますよね。
小麦(ble)に対して、黒い小麦(ble noire)と言うソバ。小麦に準じて大切なものなのでしょう。
アーモンドのプラリネにソバを入れて、更にソバのヴィスキュイ(クレープダンテルかと思いましたがヴィスキュイらしいです)が入りアクセントになっています。より香ばしさが印象的になる感じ。
少しねっとりした、ややミネラル感が強い味の中から突然ヴィスキュイからの香ばしさが現れます。
ルルーさんの使っているソバは友人が製粉してくれてるものだそう。人と人との繋がりは大切ですね。
ミュールカルダモン(Mure Cardamome)
カルダモンを使ったガナッシュに桑の実のパートド フリュイを滑り込ませたボンボン。
ルルーさん流のデギュスタシオンで食べてみると、ガナッシュが溶けた後に残ったパート ド フリュイから桑の実の香りと甘酸っぱさが広がります。
遠くに感じるカルダモンの香り。
少量使っているフルールドセルが芯になっています。
「私が作る全ての物に塩が使われているとは思われたくない」
塩キャラメルで有名になったルルーさんはそう思っているそうです。
「塩は花火のようなもの」
ハーブも含めては口の中でちょっとしたパッションが起きるための演出なのでしょう。
ちょっとした演出で1つのボンボンに時間差と奥行きをもたらすのがルルーさんの真骨頂。
何個食べても食べ飽きないのはそんな工夫があるからですね。
このセミナーはこれで終了。
この後、会場から退出となるのですが。
なんとルルーさんが参加者1人1人にお土産のキャラメルを手渡しして下さりながら見送ってくれるという大サービス。ファンにはタマラナイ時間になりました。
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