たま庵 下高井戸に手打ち十割蕎麦の新店
手打ち蕎麦『もち月』が市場の路地から下北沢に移転して以来、下高井戸あたりでは手打ちの蕎麦は食べられなくなっていました。
(参照:2006/12/31 打心蕎庵 下高井戸 もち月 の新しい店 代沢)
山下か経堂か永福町まで行かなきゃ....
下高井戸の蕎麦喰いにとっての暗黒時代です。
今年になってから、そんな下高井戸に一筋の光明が....。
1月に『たま庵』という手打ち十割蕎麦の店ができたんです。
昼のみの営業だというこの店。(現在は夜も営業)
昼休みが少し早めにとれた時、何度かランチに行ってみました。
場所はSEIYUの斜向かい。
道路も間口も狭いので店の前に自転車は置けません。
温かい蕎麦は少し塩分が強い汁でしたが、とても美味しくって良い感じです。
となると、ゆっくりと蕎麦屋酒を愉しみたいのは人情です。
2月になったら夜の営業も始めると聞いていたので、ずーっとチャンスをうかがっていました。
遅ればせながら昨夜、遂にその時がやってきました。
みずほのATMの脇にある階段を上がって右手に進むと、奥のカウンターに旭菊、鷹勇強力の郷、鷹勇鷹匠、睡龍、などが並んでいます。
一般的には知られていませんが、日本酒愛好家の間では純米酒ブーム。
いや、純米酒ブームというより上原某&古川某ブームと言った方が良いかも。彼らが著書で紹介している酒が日本酒愛好家に熱く支持されています。
それらの酒は高い醸造技術で造られていて、ボディが厚く、旨味が強い。しっかりした発酵で甘みを締めた酒は上等な食中酒です。
ここにあるのはそんな酒。
この店の女性店主に聞いたらとにかく鷹勇が好きなんだそう。
もちろん酒を頂きます。
鷹勇強力の里 13年に仕込み今年瓶詰めされたもの。
上燗で。口に入れると一瞬優しいが、すぐに旨味の凝縮感とボディの厚みを感じます。
アテに豆腐の味噌漬けとそば味噌を。
そば味噌は味噌にそばの実とゆず胡椒を使いシャモジに乗せて炙ってあります。ピリピリと辛く、かなり刺激が強いもの。
豆腐の味噌漬けはかなり漬けている感じ。
旨味と塩分が強い味になっています。
やはり、この店の旨口の酒に合わせるには、濃い味つけになるのは道理です。
鷹勇 鷹匠 17BY。
もちろんこちらのほうが強力より若い感じ。17BYでも若々しくハツラツとしてるのがこの酒のポテンシャルの高さを示しています。
この店のアテには強力よりこちらの鷹匠の方が良いかも知れません。
酒の旨味に負けない、ガッツリしたものが欲しくなってかき揚げを頼みました。
かき揚げは、いかにもと言わんばかりに美しく、火の入り具合も丁度良い、蕎麦屋ならではのかき揚げです。
今度は揚げ物に負けないガッツリした酒、睡龍をもらいました。
睡龍は底辺に堅い感覚が有りながら香りは軽やか。コハク酸などの旨味が強い酒です。
ガッツリ vs ガッツリ なスゴイ旨味の闘い。
もはや天つゆには味を感じませんでした。
最後にざるを一枚もらって〆ました。
蕎麦は甘みの強い蕎麦。香りも甘くて良い香り。
おいしい......
と、なるはずだったのですが.....。
でも、感じ辛い。
ここまで旨味の強い酒を飲んでしまったのがアダになったよう。
味覚が麻痺したような.....
蕎麦の甘みや旨味をほとんど感じない.....
何とももどかしい残念な状態。
昼に蕎麦を食べたときは、この店の蕎麦は美味しかったんです。
となると、問題はマッチョな酒と濃い味のアテ。
せめて神亀にしとけば良かった....。
やはり、TPOは大切なんでしょう。
蕎麦屋では蕎麦を引き立てる酒が必要なんですね。
蕎麦より香らず、蕎麦より甘からず、蕎麦より出しゃばらない酒。
いや、蕎麦に寄り添うような酒かな。
例えば、広島の 翁 達磨 雪花山房 なら 四季桜。
(広島出身の方に『広島の蕎麦屋』の話しをすると一様に驚かれますが)
(参照:2006/12/15 翁 達磨 雪花山房 高橋邦弘氏の蕎麦 広島)
例えば、木祖の おぎのや なら 木曽路。
(参照:2008/01/22 湯川酒造 鷲澤捨男杜氏を囲んで おぎのや 木祖)
優しく、しかし、たおやかな酒。
マッチョな酒は天ぷらとかコッテリしたアテには良いんですけどね。
しかし、蕎麦にこれらの酒を選ぶのは.....整合性が無い。
繊細なものにはそれに見合った繊細な酒が必要なのだと再認識しました。
この『たま庵』 ワタシ的には今後も通ってみたい店。
ただ、『飲む』か『食べる』か、使い分けは必要かな。
でも、京王線沿線には店内禁煙の店ってとても貴重です。
応援したいと思っていますよ。
もちろん、ワタシの言う応援とは、店に行って食べること。
ワタシに寄り道させる店がまた1つ増えたという事です。
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コメント
どれも大好きなお酒だけど、確かにただ蕎麦と合わせるにはヘビーかも。
なんとなくわかります。・・とは言っても、私は飲んじゃいますけどね♪
蕎麦とお酒のコラボレーションというより、旨みタップリのお酒になった口の中をサッパリさせるための蕎麦っていう感じでしょうか。
本当にお蕎麦だけ楽しむなら、今の私はやっぱり静岡酒かな?
投稿: hirorin | 2008/03/06 18:48
hirorinさん、マイドです。
なるほど!! 口をサッパリさせる為の蕎麦ですか!
目から鱗です。
逆も真なり。
楽しみ方は人それぞれですもんね。
なかなかコメント頂けないこの駄blogにいつもありがとうございます。
hirorinさんのコメントが777件目のコメントでした。
何か良い事が有ると良いです。ギャンブル系が良いかも。
投稿: bleu et rouge | 2008/03/06 19:08